J.H.Schult / 1915
【J.H.Schult/1915】モダンジャーマン
Andreas Post氏(アムステルダム在)による鑑定書
ヨハン・ハインリッヒ・シュルトはドイツのリューベック出身の著名なヴァイオリン製作者で、主に20世紀初頭に活躍しました。1896年に工房を設立し、その職人技で高い評価を得ました。
1907年には、メクレンブルク大公の弦楽器製作者に任命されました。これは彼の専門知識と評判を裏付ける栄誉でした。また、シュルトはトリノとシュヴェリーンの両方で製作に対してメダルを授与されました。ヴァイオリンやチェロを含むシュルトの楽器は、その質の高い素材と職人技で高く評価されており、豊かな音色と精密なディテールでストラディバリウスの影響が見られることも多くあります。
第二次世界大戦中、1942年に爆撃で工房が破壊され、シュルトは弦楽器製作者として引退を余儀なくされました。
今日でも、シュルトの楽器は音楽家やコレクターの間で高く評価されており、オークションや高級楽器ディーラーで見かけることもあります。
【宮廷ヴァイオリン製作者】
宮廷の弦楽器製作者に任命されるということは、非常に名誉あるもので、特に19世紀から20世紀初頭のヨーロッパでは報酬が高く、職人としての地位を高めるものでした。
非常に高い技術と品質が求められ、依頼を受ける王侯貴族や上流からも信頼されていることが前提として認識され、他の職人との差別化が図られました。
特にメクレンブルク大公は、当時ドイツの重要な領邦国家の一つであり、その宮廷から弦楽器製作者として任命されるということは、その国の最高レベルの職人として認められたことを意味します。
ヴァイオリンの品質や製作者として大きな影響を与え、顧客や収集家からも非常に高い評価がありました。
ヨーロッパの宮廷で認められた職人には、Giovanni Battista Guadanini[ジョバンニ・バッティスタ・グアダニーニ]やJean Baptiste Vuillaume[ジャン・バティスト・ヴィヨーム]といった歴史的な名匠も含まれており、シュルトの技術と評価がそれらの巨匠に敵対(匹敵)するものであったことを示しています。